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【プリンストン便り15.5】SDSS見学レポート(東大・プリンストン大、交流の歴史。)

前回の記事でご紹介した通り、東大・プリンストン大の初めての組織的な共同研究となったのがスローン・デジタル・スカイ・サーベイ、略してSDSSという大規模な宇宙探査プロジェクトでした。その後SDSSは両大学が関わったCCDによる撮像を終え、現在は分光観測をしています。

ちょうど先日、夫とともにこのSDSS望遠鏡を見学する機会がありましたので、今回はその様子をレポートしたいと思います!

SDSS望遠鏡が設置されているのは、砂漠地帯の広がるアメリカ南西部、ニューメキシコ州のアパッチ・ポイントという場所です。

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今回わたしたちは、アパッチ・ポイントの近くにあるアラモゴードという小さな町に宿泊しました。このエリアには、ホワイト・サンズ国立公園があり、一面に白い砂丘が続く不思議な風景が広がっています。

 こんな感じ!

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アパッチ・ポイントは、この灼熱のホワイト・サンズ国立公園から約40km東に位置します。標高2800mの高地のため、一転して長袖が必要なほどの寒さでした。

こんな景色です。

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ここにはSDSSの他にも、写真にあるようなドーム型の望遠鏡が二基あり、別の観測をしています。この写真にも一応SDSSが写っています(一番手前の望遠鏡の影に、斜面から右側に飛び出すような感じでちらりと白い四角い建物が遠くにあるのが見え...ないですかね。ちょこっとだけ写っているんですが)。

最初に見学したのは、手前にあるARC 3. 5m望遠鏡(Astrophysical Research Consortium 3.5-meter Telescope)です。この真ん中の丸い部分が主鏡、右側に写っているのが副鏡です。

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主鏡のカバーを開くとこんな感じです。

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肉眼では平に見える大きな主鏡は実は少しだけ凹レンズに作られており、副鏡と共に光を効率よく集めています。

さて、このARCのようなドーム型の「ザ・望遠鏡」という感じの設備とは違って、SDSSの建物は家のような形をしています。正面から見るとこういう感じです。

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それでは観測時にはどうやって望遠鏡が外に出てくるのかと言うと、なんと中のSDSS望遠鏡を残して、この家全体が手前にスライドするんだそうです。大きな望遠鏡による精密観測を限られた予算で実現する工夫とのことでした。

このような設計のため、観測時に丸ごと外に晒されるSDSS望遠鏡には四角い金属の覆いが付いています。

こんな感じです。

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SDSSでは外から鏡を見ることができませんが、基本的には先ほどの望遠鏡と同じような仕組みで作られているそうです。

SDSSの後ろ側はこんな感じ。

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こちらの赤いシャツの男性は、この日私たちを迎えてくれたエンジニアのマークさん。ほとんど毎日ここにきてメンテナンスを行っているそうです。

お仕事の中で一番楽しいのはどんな瞬間ですか?と尋ねたところ、「僕は科学者ではないから、観測が上手く行った時より何か問題が起こった時に一番わくわくするんだ」とのこと。その場に居合わせた若いエンジニアの方も「新しいパズルが見つかると腕が鳴るんだ!」と満面の笑み。

きっと研究者側からすると、観測中に何か問題が発生するのは好ましいことではないのでしょうが、実は小さな問題は頻繁に起こっているそうです。「そのほとんどがプログラム上の小さなミスなんだけど、実は数年前に機械に問題が見つかって...」と、(ごめんなさい、あんまり英語が聞き取れなかったので内容はよくわからないのですが)やっぱり嬉しそうに語るマークさん。

 

彼らが毎日のように望遠鏡の様子に目を光らせ、意気揚々と問題を解決してくれているおかげで、貴重なデータを正確に集めることができるのですね。SDSSのデータを使って研究をしていた夫は、実際にこの地を訪れることができていたく感激したようでした。一つの観測にも、色々な人が色々な立場や形で関わっているのだということを再確認できた旅でした。

 

南崎 梓@今回はプリンストンではなくニューメキシコ州からお届けしました!って、本当は書きたかったのですが、なんと今はカリフォルニア州におります

 

(最後におまけ)アパッチ・ポイントからホワイト・サンズ国立公園が見えました。遠くに見える白い帯状のエリアです。こうして見るとかなり大きい!

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